【公式】龍谷大学国文学会 ニュースBLOG

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2017年度龍谷大学国文学会ならびに学術講演会のご案内

今年も例年にならい、研究発表会・総会を行う運びとなりました。
また今年度も、龍谷学会との共催で学術講演会を開催いたします。
参加費は無料です。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

以下詳細

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◆2017年度龍谷大学国文学会 研究発表会・総会ならびに学術講演会
 日時:2017年6月24日(土) 13:30〜
 会場:龍谷大学大宮学舎 北黌204教室

■研究発表会(13:30〜15:00)
・中世王朝物語における音楽表現
本学大学院博士後期課程   藤井  華子 氏 
 中世王朝物語とは、中世に成立した作り物語である。中世王朝物語は王朝物語風の物語世界を有している。さらに、中世王朝物語は『うつほ物語』・『源氏物語』・『狭衣物語』をはじめとする王朝物語を引用し、それらの物語に連なるかのように物語世界を語っていく。その一方で、王朝物語を打破しようとする意図を、中世王朝物語からは汲み取ることができる。すなわち、中世王朝物語は王朝物語とつながりを有しながらも、王朝物語を相対化しようとする視点を有しているのである。これらのことから、中世王朝物語を究明することは、王朝物語研究にとっても必要であるといえよう。
 本発表では、中世王朝物語に関わる諸問題の中でも特に音楽に注目する。中世王朝物語には王朝物語同様、多くの音楽表現が登場する。しかし、それらの音楽表現の在り方は必ずしも同一であるとは言い難い。例えば、『源氏物語』で光源氏行幸において青海波を舞ったように、王朝物語では行事・儀礼の場での舞楽が語られる。その一方で、中世王朝物語では舞楽が(王朝物語と比して)少なく、行事・儀礼の場であっても取り上げられる音楽の多くは「御遊び」である。このような現象をはじめ、王朝物語と中世王朝物語とでは取り上げられる音楽の質やその音楽を語る「音楽表現」に違いがある。そこで、本発表では、中世王朝物語における音楽表現を精査することによって、中世王朝物語の特徴の一端を示したい。



坪内逍遥『桐一葉』初演の問題
本学文学部講師   寺田  詩麻 氏 
 坪内逍遙の戯曲『桐一葉』は、明治二十七年(一八九四)から二十八年にかけて雑誌『早稲田文学』に「読み本体(たい)」が掲載された。実際に上演されるのは、十年後の三十七年三月東京座である。「読み本体」はせりふを改行なく続け書きにして、義太夫節の語りのような地の文が入る形式で書かれており、字句もかなり晦渋である。そのため初演では逍遙の作をもとに、狂言作者竹柴晋吉が上演台本を作成した。とくに問題となったのは、原作の第二段を第五段の中に入れ込んでまとめる必要があることだった。竹柴は台本をまとめ、熱海の逍遙の居宅へ持参し上演の了承を求めたが、逍遙は改訂に「不快」を覚え、竹柴にその場で再改訂を求めた。竹柴はそのまま三日間滞在して書き直し、やっと上演の承諾を得た。
 早稲田大学演劇博物館には、初演に際して作られたと推定される台本が所蔵される。本発表では、まずこの台本が初演のものと推定される根拠を述べる。そして当該台本には第二段と第五段をまとめた冊が二種類含まれていることを指摘し、比較してどのような違いがあるか報告する。
 結論としては当該台本の内容と状態から、当初初演で竹柴が改訂しようとした点と、逍遙が不快感を覚えた点は何であったと考えられるか、なるべく具体的に指摘し、そこから明治三十七年当時の『桐一葉』上演におけるせりふの問題を考察したい。


■総会(15:10〜15:50)

龍谷学会共催・学術講演会(16:00〜17:00)
 テクスト論再考―『春は馬車に乗って』を例にして―
北海道教育大学教授   西原 千博 氏 


※懇親会(17:30〜)  於 龍谷大学大宮学舎 清和館1階生協食堂(会費5,000円)