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2010年度龍谷大学国文学会 総会・研究発表会のご案内

今年も例年にならい、総会および研究発表会を行う運びとなりました。
参加費は無料です。
皆様のご参加を一同心よりお待ちいたしております。

以下詳細

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◆2010年度総会・研究発表会

日時:2010年 6月26日(土)
   13:00 受付開始
13:30 研究会開始

会場:大宮学舎 清和館 3階ホール


 ■研究発表会
  ・『莠句冊』第3篇「求塚」第三説における典拠―長恨歌との関係―
    本学大学院博士後期課程 高橋 清久 氏

 本発表は『莠句冊』第三篇「求塚俗説の異同・塚の神霊問答の話」第三説における典拠の問題を扱う。この第三篇は菟会処女伝説を基にして書かれた『大和物語』第百四十七段「生田川」の中の和歌を二首を引用している。その二首のちょうど間にある和歌の注釈に注目してみると、北村季吟の『大和物語抄』では、「長恨歌」の心を込めて詠んだ歌という記述があり、庭鐘はそこから「長恨歌」の世界に誘われる。
 そして「長恨歌伝」の注釈書である『歌行詩諺解』の「長恨歌」の注釈部分を本文化していることがみえ、つまりは庭鐘は『大和物語抄』と『歌行詩諺解』という二書の注釈書からの本文化という行為をしているのである。
 また「長恨歌」を典拠とすることは、『莠句冊』序文において庭鐘が典拠として明言している『聊斎志異』の「恆娘」と『西湖佳話』の「西冷韵迹」、そして『日本書紀』と非常に関係してくるのである。



  ・現代日本語における複合辞ヲメグッテとニツイテ
    本学大学院博士後期課程 真仁田栄治 氏

 ヲメグッテとニツイテはともに思考や発話のテーマを表す複合辞である。たとえば「予算の使い方 をめぐって/について
話しあった」のように両者は近い意味を表す。しかし一方で「自分の家族 ×をめぐって/◯について話した」という言い方ではヲメグッテを使ったら不自然である。本発表ではヲメグッテを中心に論じ、ニツイテとの比較によってヲメグッテの特徴を明らかにする。
 ヲメグッテは本動詞メグルが形式化してできた複合辞だが、メグルの本動詞としての意味を色濃く残している。そこで本発表ではまず本動詞メグルの意味・用法から説き起こし、ヲメグッテの用法、とりわけ前項・後項の使用制限を明らかにし、さらにニツイテとの差異を論じる。
 また、従来論じられなかった取り立て助詞のハのついた形式(ヲメグッテハ・ニツイテハ)の意味や名詞修飾の用法(ヲメグル・ニツイテノ)についても論じる。


  ・入試の中の『徒然草
    甲南高等学校・中学校教諭 田村 信平 氏

長きにわたり教科書教材として使用されてきた古典作品には、優れた教材性が認められるのは言うまでもないが、複数の大学で時を経て繰り返し使用される入試題材、つまり、入試古文に多用される題材にも、多くの出題者に認められた教材性が看取できる。
新出典が注目されがちな昨今の古文入試において、『徒然草』は今もなお『源氏物語』・『宇治拾遺物語』とともに、他作品を圧倒する出題頻度を保っている。基礎的項目を教示しやすい点はもとより、訓話性が単なる説教じみた印象にとどまらず、現代の諸問題にさりげなく適応する力を有している点が『徒然草』の教材性の最たるものであろう。
 明治期以降、学校教育における古典教材の「定番」的存在として認知されてきた『徒然草』であるが、序段を含めた244の章段全てが教材として親しまれてきたわけではない。教材や入試に使用された章段は全体の約半数にとどまる。この特定章段の教材化現象を、『徒然草』全体像に迫る取り組みとは方向性を異にすると見るむきもあるが、近年の入試頻出章段及びその出題内容には「長年の出題の過程で規格化された設問」を超えるような設問や新傾向も散見し、入試問題総体が徒然草全体像に迫りつつある面も否定できない。
また、近年の入試には学生募集広報上の配慮も求められよう。『徒然草』の場合、その出題実態を通覧した限りにおいて、施策じみた面の大学間での広がりが、『源氏物語』出題に比べて弱いと言える。入試文化の影響力は大きい。古典教育の可能性を探る上で、入試の中の『徒然草』の力を様々な角度から再認識すること、それは高等教育、中等教育双方にとって有意義であると考える。



 ◆総会(16:00より)

   ※17:15より清和館において懇親会を行います。



◎お問い合わせは日本語日本文学科合同研究室まで。

◎『國文學論叢』(第56輯)の原稿を募集しております。
 締め切りは2010年9月末日です。
 ・論文   400字詰め原稿用紙 30-40枚程度
 ・研究掌記 400字詰め原稿用紙 数枚程度
 ・送り先  〒600-8268
       京都市下京区七条大宮
       龍谷大学日本語日本文学合同研究室内『國文學論叢』編集係
       電話:(代)075-343-3311