【公式】龍谷大学国文学会 ニュースBLOG

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2013年度龍谷大学国文学会ならびに龍谷学会共催学術講演会のご案内

今年も例年にならい、総会および研究発表会を行う運びとなりました。
また今年度は、龍谷学会共催での学術講演会を開催いたします。
参加費は無料です。
皆様のご参加を一同心よりお待ちいたしております。

以下詳細

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◆2013年度総会・研究発表会 及び龍谷学会共催学術講演会
 日時:2013年 6月29日(土) 会場:大宮学舎 北黌204号室

■研究発表会(13:30〜14:55)

・大将饗応と浮上する過去――『源氏物語』宿木巻の表現から――
本学大学院博士後期課程 櫻井学 氏

源氏物語』宿木巻は、宇治十帖の他巻にくらべ、儀式の描写が際立つ巻である。なかでも、匂宮・薫それぞれの結婚や藤花宴は記述が詳細であり、物語における意味が先行研究によって追究されてきた。
複数描かれる儀式のひとつに、薫の大将饗応がある。薫が権大納言兼右大将に就任する記事は、今上女二宮の裳着準備記事の直後に描かれており、女二宮降嫁に先んじての昇進であると、ひとまずは理解される。だがこの記事は、就任のみならず「衛府の人に禄賜ふ饗」つまり大将饗応にいたるまで、描写が及んでいるのであった。その様子は「大臣殿のしたまひけるまま」と語られており、饗応が夕霧の例に准じ六条院にて行われたとある。このことから薫の饗応描写は、かつてあった過去を想起させる効果を持つと言えるだろう。しかし、当該箇所について諸注釈は「夕霧饗応記事は物語に見えない」としており、饗応描写が持つ重層的意味についての従来の言及は見えない。
本発表の目的は、薫が准う夕霧饗応の内実を措定するところにある。手がかりとして、まずは史実における大将饗応を検証し、その実体を明らかにする。その上で、物語における饗応がいかなる意味を持ちうるのかを考える。饗応の場所が六条院であることから、第三部における六条院の問題も、考察の射程に入れておきたい。


・近世料理書における調理操作を表す表現について−アエルを中心に−
本学文学部教授 余田弘実 氏

 中世から近世にかけての料理書を資料にした国語学(日本語学)的研究には、位相論の立場からの故島田勇雄の研究がある。それに対して、発表者は、語彙史研究のうち語彙体系の変遷を重視する立場から、近世料理書を使用して当時の加熱調理操作を表す語彙の体系を明らかにし、食生活、食文化のとの関連も視野に入れて、現代語の加熱調理操作語彙の体系との違いを指摘した。
 言うまでもなく、調理操作は加熱を伴うものばかりではなく、非加熱調理操作として、現代では「洗浄」「浸漬」「切砕」「整形」「粉砕」「磨砕」「圧搾」「混合」「攪拌」「冷却」「解凍」など(全国調理師養成施設協会『改訂 調理用語辞典』平成11年改訂版)が挙げられる。しかし、食生活、食文化が異なった近世では、現在と全く同様の非加熱調理操作が行われていたとは考えられない。近世においては、非加熱調理操作を表す語彙にはどのような語があり、どのような語彙体系が形成されていたのだろうか。
 そのようなことを明らかにするために、本発表では、近世料理書を資料とし、「混合」「攪拌」を表す調理操作の中でも、現在も使用されているアエルを中心に取り上げ、当時の食生活、食文化との関連も視野に入れて考察する。調理操作全般を表す語彙史研究の一階梯と位置づけたい。

■総会  (15;10〜15:50)

龍谷学会共催学術講演会(16:00〜17:00)
 文化としての〈樋口一葉徳島大学総合科学部准教授 笹尾 佳代 氏


※懇親会 (17:30〜) 於 清和館一階生協食堂(会費5.000円)