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2011年度龍谷大学国文学会 総会・研究発表会のご案内

今年も例年にならい、総会および研究発表会を行う運びとなりました。

参加費は無料です。

皆様のご参加を一同心よりお待ちいたしております。

以下詳細

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◆2011年度総会・研究発表会  

 日時:2011年 6月25日(土)

  会場:大宮学舎 北黌203号室

     ※ 13:00 より受付開始




  ■研究発表会(13:30〜14:55)

   ・『源氏物語』弘徽殿大后と正義――「悪后」という評価をめぐって――
                 本学大学院博士後期課程 川口 陽子 氏
 本発表で取り上げるのは、桐壺帝に入内した弘徽殿女御(後に大后)である。『源氏物語』第一部を通して弘徽殿大后は、光源氏の宮中での立場に影響しつづけ、弘徽殿大后及び右大臣家の勢力も光源氏左大臣側)の勢力に左右されていく。『源氏物語』においてそのような位置にある弘徽殿大后は、『弄花抄』などから『湖月抄』に至るまで、「悪后」と評されてきた。その「悪」という評価は、近年の研究において見直しが図られ、社会的・政治的存在として捉えられるのが一般的であると言えよう。
 しかし、弘徽殿大后という「人物像」に対する議論は様々なされているものの、“「悪后」ではない弘徽殿の人物像の模索”という点に留まっているのではないか。それは、古注釈書にとらわれない新たな解釈を提示し得たという意味はあろうが、そもそも「悪后」という評価が古注釈書において、なぜ承け継がれてきたのか、なぜそのような評価がなされたのか、という根本的な問題に対しては、何の見解も示されていないに等しいと言える。
 まずは、古注釈書において「悪后」という評価が『源氏物語』中のどのような文脈や場面から導き出されたものであるのかということに注目し、その延長線上にある現代の研究における弘徽殿大后の『源氏物語』外からの評価を考察する。その上で『源氏物語』内における弘徽殿大后の評価を具体的な場面を取り上げて検討し、物語内外における弘徽殿大后の評価の生成過程を明らかにしたい。





   ・〈腰のしるし〉と中の君―源氏物語・宇治十帖の一景―
                 本学非常勤講師 櫻井清華氏

宿木巻で薫は夫・匂宮の留守中に宇治の中君を訪ね、恋情を訴えて迫ったものの、「腰のしるし」を見て匂宮の子を妊娠していることを知る。そのため、情交には及べずにその場をおさめたとある。
「腰のしるし」は妊婦が巻く腹帯を指すと古註は指摘するが、さらに江戸中期、伊勢貞丈がその著書『安齋随筆』に「昔は衣の上より帯したるなるべし。されば外より見ゆる故ははぢたるなり」と註したことから、以来①中君の腹帯は衣装の上から巻かれていた ②それを見られたことを中君は恥じた ③つまり衣装の上から腹帯がのぞいた程度に接近したのみであった、という理解が一般的な解釈とされてきた。
だが、武家有職故実研究家であった伊勢貞丈が平安中期の腹帯についてどこまで知り得たかは明確ではない。また「腰のしるし」の註が『安齋随筆』に始まること、そして現在の読みが『安齋随筆』の註におもねていることなどから、再考の余地があると考える。
本考察では妊婦が巻く腹帯に本来託された意味とその使用法を資料によって明らかにし、『安齋随筆』の註を再検討し、ひいては当該個所の読みの更新を図ることが目的である。
  


  ■総会(15:10〜)



   ■龍谷学会共催学術講演会(16:00〜)

    ・問題発見の始点―「伊勢物語」「落窪物語」の冒頭を資料にして― 
                 甲子園大学教授 神尾暢子氏



 
      ※懇親会(17:30〜)  於 清和館1F生協食堂(会費5.000円)
  


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◎ご不明な点など、お問い合わせは日本語日本文学科合同研究室まで。

    E-mail: ryukoku_nichibun@yahoo.co.jp
    電話:(代)075-343-3311